あと施工アンカー工事については、【耐震改修工事】の分野に含まれるものの一つです。近年、耐震改修工事については1題の出題がされており、中でもあと施工アンカーについては、最頻出の内容ではないでしょうか。特に、近年では公共設備での施工方法や点検方法に注目されています。これからも出題が続くと思われますのでおさえておきましょう。

あと施工アンカー工事は、近年その施工方法と維持管理について注目されています。

ニュースでも見かけることがありますね。

こういった時事的な問題と結びつけて、学習することはより有意義な時間になるはずです。

資格のためだけの知識じゃないってことですよね!
あと施工アンカー
既存の鉄筋コンクリート駆体と新設する耐震壁等への力の伝達が円滑に行われるように、既存の鉄筋コンクリート駆体に埋め込み、他端を新設する耐震壁等に定着するアンカーのこと。
金属系アンカーと接着系アンカーがある。
施工手順
・金属系アンカー
打込み方式の施工手順は以下の図の通り。

※打込み方式の他に、締付け方式がある。締付け方式は、アンカーの固着にトルクレンチを使用し、所定のトルク値まで締め付けることになる。
・接着系アンカー
接着系アンカーの施工手順は、金属系アンカーとほぼ同様で
①穿孔 → ②清掃
となりますが、アンカーの固着に接着剤を使用するため、アンカー挿入前にカプセル(接着剤)を挿入しておきます。その後、ハンマードリルで撹拌しながらカプセルの入った穴にアンカー筋を差し込みます。
→③カプセル挿入 → ④アンカー筋の挿入・固着
となります。
施工の注意点
施工時には以下の点に注意すること。
・穿孔は直角に!
あと施工アンカーの穿孔は、施工面に対して直角にすること。
・穿孔時に鉄筋に接触したら?
穿孔時に鉄筋に接触した場合、原則、穿孔を中止して付近に再穿孔を行う。
・傾斜して穿孔してもいいの?
やむなく傾斜して穿孔する場合、金属系アンカーの場合は施工面への垂線に対して 5°以内 とする。接着系アンカーの場合は 15°以内 。
・穿孔深さは?
金属系アンカーの穿孔深さは、有効埋込長さにアンカー本体の外径を加えたものとする。接着系の場合は、有効埋込長さと穿孔深さは同じでよい。
・接着剤はあふれ出るまで?
接着系アンカーの埋込み時、内部に空洞等があるなどして、接着剤がコンクリート表面まであふれ出てこない場合は、一度アンカー筋を引き抜きカプセルを追加して接着剤があふれ出るようにしてアンカー筋を埋め込む。
アンカー筋の埋込み長さはいくつ必要?

穿孔長さについては、先述した通りです。

金属系だと、有効埋込み長さにアンカー筋の外径を加えた長さでしたよね。

それではその埋込み長さはどの程度必要でしょうか。過去問を見てみましょう。
(過去問:R01-22)
1.現場打ち鉄筋コンクリート壁の増設工事において、壁厚が厚い複配筋の既存開口壁を鉄筋コン
クリートにより閉塞するに当たり、開口周囲に埋め込む「あと施工アンカー」の埋込み長さにつ
いては、特記がなかったので、10 da(da:アンカー筋径)とした。
こちらの枝は正しい記述でしょうか。それとも誤り?
ちなみに、上記の過去問のほか、似た内容で開口補強筋の端部の定着を問われた年もありました。
開口補強筋の端部の定着を「あと施工アンカー」によって行う場合は、特記による。特記のない場合は、埋め込み長さを 11da以上 とした接着系アンカーを使用する。
確認試験
現場で施工されたアンカーの固着状態を確認する試験です。
特記がない場合は、1日に施工されたものの径および仕様ごとを1ロットとし、この中から3本行います。
引張試験の確認試験荷重については、設計担当者と協議の上実施する。
一般には、計算で得られたアンカーの鋼材による引張荷重またはコンクリート破壊による引張荷重の小さい方の2/3程度の荷重を確認荷重としている。
過去問
(R06-22)
1.あと施工アンカーの施工後の確認試験において不合格となったので、その至近の位置に再施工
をし、再施工をした全てのあと施工アンカーに対して施工確認試験を行った。
こちらの枝は正しい記述でしょうか。それとも誤り?
今回は以上です。少しでもお役に立ちましたでしょうか。
令和6年のように新傾向の問題も出題される可能性もありそうな範囲です。この年は直接解答できなくても、過去の出題から消去法で解答可能でした。今後も注目される内容なのでしっかりおさえておきましょう。
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