仮設工事からは、毎年1問の出題があります。単管足場や枠組足場の必要寸法等がよく出題されていますが、今回はそのなかでも「災害防止」について過去の出題を踏まえながら整理しておきたいと思います。近年も労働災害はニュースでも取り上げられることが多く、実務においてもおろそかにはできない内容となっております。

単管足場や枠組足場の設置ルールだけでなく、その他の災害防止措置も覚えておきましょう。

落下防止とかのことかな?

そうですね。足場一般に共通する措置で、この範囲からもほぼ毎年1枝は出ている印象です。

仮設工事の範囲は覚えることがたくさんありますね。
災害防止措置
災害防止の範囲で扱うのは、主に足場一般に共通する落下物に対する措置であったり、墜落に対する措置です。
冒頭でも触れましたが、墜落・転落災害というのは日々ニュースで流れてきてきますがどれだけ注意しても発生しうるものです。実務に関わる方は、せめて自分の周りだけでも正しい知識でその確率下げていおきましょう。
防護棚(朝顔)
防護棚、通称朝顔とよばれるものです。
災害防止の範囲の中でも出題頻度の高い内容になります。

◆設置ルール
①地上からの高さ4〜5mの箇所に一段目を設け、二段目以降はその下段の防護棚から10mより低い間隔のところに設けるのが望ましい。
②防護棚のはね出し長さは、足場から水平距離で2m以上とし、水平面となす角度は20°以上とする。

「水平面となす角度20°以上」これがどこか図でも確認しておきましょう。

③はね出し材にころばしを架け渡し、その上に並べて防護棚とする。
④敷板には、厚さ30m程度のひき板、合板足場板または厚さ1.6mm以上の鉄板を用いることが望ましい。
過去問(R06-05)
(R06-05)
1 .防護棚(朝顔)は、地上から高さ 5 mの位置に 1 段目を設け、 1 段目から 9 m上部の位置に 2 段
目を設けた。
こちらの記述は正しい内容でしょうか?それとも誤り?
墜落防護工
墜落防護工は、通路や作業床などにある開口部に設ける墜落防止設備のこと。
こちらは過去にどのような形で出題されているか確認してから要点を押さえましょう。
過去問(H28-05)
(H28-05)
3.単管パイプを用いて床面開口部の周囲に設ける仮設の手摺については、高さを 1.2mとし、物体落下防止として高さ 10cmの幅木を設け、墜落防止として床から 65cmの位置に中桟1本を取り付けた。
こちらの記述は正しい内容でしょうか?それとも誤り?
◆設置ルール
第1種と第2種があり、第1種は荷揚げ用の開口部や、階段の踊場等での設置、第2種は足場の作業床周辺等での設置の場合で分けられている。
①手摺の高さ:第1種 950mm以上、第2種 900mm以上
②束柱の中心間隔:2m以下
③中桟の間隔:幅木と中桟及び中桟と上桟との内法間隔がそれぞれ450mmを超えないようにする
④幅木の高さ、床面とのあき:床面より幅木の上面までの高さが100mm以上とし、幅木と床面の隙間は10mm以下とする。

◆誤った記述だったのは…
問題文中の「高さ 10cmの幅木を設け、墜落防止として床から 65cmの位置に中桟1本を取り付けた」とありますが、幅木と中桟の内法有効寸法は450mm以下でなければなりません。これでは幅木の上端から中桟との内法間隔が550mmになってしまいますので誤りの記述となります。
飛散防止
工事用シート(メッシュシート)は鋼管足場または鉄骨の外部等に取り付ける場合は、水平支持材を垂直方向5.5m以下ごとに設ける。また、鉄骨外周等に用いる場合は、垂直支持材の水平方向の取り付け間隔を4m以下とする。

ん?水平を垂直に、垂直を水平に?

これは文章にするとわかりにくいんですが、図で見ると一目瞭然です。


まとめ
今回は以上です。
足場の代表的な寸法とは別の安全対策のための仮設工事に着目しました。防護棚の寸法の問題は出題頻度が高いですし、メッシュシートの支持材の間隔は、足場の壁つなぎや圧縮材の設置間隔の寸法と出題の傾向が似ているので勘違いしないように注意しましょう。
いかがでしたでしょうか。ここで来ていただいた方の得点アップに少しでもつながれば幸いです。また次回もお付き合いください。
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