各種コンクリートからは毎年1問出題されており、今回はそのなかから「マスコンクリート」について、過去の出題よりポイントをおさえていきたいと思います。個人的には意外と出題頻度が高い内容でも記憶に残りにくい特徴になっていましたので整理してみました。2、3年に1回程度の頻度で出題されているようなので、マスコンクリートって何?という方は一緒に確認していきましょう。

マスコンクリートのマスって何なんでしょう?

「Mass = 質量、塊、大量の」ということのようです。

つまり大量のコンクリートなんですね!

コンクリートは硬化する過程で熱を発します。それが大量になると注意が必要です。
マスコンクリートって?
◆マスコンクリートとは?
部材断面の最小寸法が大きく、かつセメントの水和熱による温度上昇で有害なひび割れが入る恐れがある部分のコンクリートのこと。
※ちなみに過去に問われたことはないですが、マスコンクリートとして扱うのは最小断面寸法が80㎝以上、マット状部材・柱上部材で100㎝以上が目安になります。
ひび割れ対策 材料と調合
◆セメントは…
特記によるが、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメントを使用する
◆混和材料は…
化学混和剤の規定に適合する遅延形または標準形のうちから定め、工事監理者の承認を受ける。一般的にはAE減水剤遅延形または標準形を使用する。
◆管理材齢は…
原則特記による。特記がない場合は、28日以上91日以内の範囲で定め、工事監理者の承認を受ける。
◆供試体の養生方法は…
標準養生、構造体温度養生、コアとすること。
◆スランプは…
15㎝以下を標準とする。ただし、高性能AE減水剤または流動化剤を使用する場合は18㎝以下とすることができる。
ひび割れ対策 施工
- 荷下ろし時のコンクリート温度は、特記による。特記がない場合は、35℃以下とする。
- 打込み後のコンクリート部材の内部温度はできるだけ低くする。
- 内部温度が最高温度に達した後の温度降下については、できるだけ緩やかにする。
- 打込み区画の大きさ、順序、時間間隔について、外部からの拘束ができるだけ小さくなるように計画する。
- 打込みは、コールドジョイント(※)が発生しないように連続的に行う。
- 内部温度が上昇している期間は、表面温度が急激に低下することがないように保温性の良い型枠を使用したり、部材表面部を断熱材、シート、水によって覆うなどの養生を行う。
※コールドジョイント:先に打ち込まれたコンクリートと後から打ち込まれたコンクリートとの間が、完全に一体化していない継ぎ目。

過去の出題より
(R06-11)
2 .マスコンクリートの打込み後、コンクリート内部の温度が著しく上昇したので、コンクリートを冷却することを目的として、打込み表面に散水した。
こちらの記述は正しい内容でしょうか?それとも誤り?
(H28-10)
1.マスコンクリートの温度ひび割れを抑制するために、普通ポルトランドセメントの代わりに、中庸熱ポルトランドセメントを採用した。
こちらの記述は正しい内容でしょうか?それとも誤り?
(R02-11)
3 .マスコンクリートの表面ひび割れの低減のため、表面を断熱養生マットで覆うことにより養生
した。
こちらの記述は正しい内容でしょうか?それとも誤り?
学習のポイントと対策
- マスコンクリートの定義を覚える必要はなし、実務レベルの管理内容を中心に出題
- 「水和熱」「ひび割れ」というキーワードをセットで理解する
- 過去問でよく出る断熱養生・温度差管理を重点的に確認
5. まとめ
いかがでしたでしょうか。
マスコンクリートは、頻出ではないものの、出題された際には確実に点を取っておきたいテーマです。熱によるひび割れやその対策を正しく理解し、過去問を通して実践的な知識を身につけましょう。
今回は以上です。こちらの記事が皆様の得点につながれば幸いです。それではまた!
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