【構造】土の性質。砂質土層で細粒分含有率が大きくなると、液状化の発生はどうなる?液状化を正しく理解できていますか?

一級建築士

「地盤と基礎構造」の範囲からは毎年3題程度の出題があり、土の性質については、その中の地盤に関する内容の一つです。土の性質でよく出題される内容としては、「沈下」、「液状化」になります。世間でも地震が起きるたびに報道される内容になりますので、注目度が高い内容ではないかと思います。建築士として、きちんと説明できるようにしっかりと理解しておきたい内容ですね。

ぱんちょ
ぱんちょ

試験対策としてはもちろん、建築士としては質問されたらきちんと答えたいですよね。

A男
A男

液状化は地震の報道でよく見ますね。世間でも注目度の高い内容ですよね。

ぱんちょ
ぱんちょ

きっちり理解して、自信を持って説明できるようになりましょう。

A男
A男

よろしくお願いします!

土の性質

一言に土といっても、土粒子には大小さまざまな形のものがあります。

まずは、地盤を形成している土粒子から、土のせん断力や、地盤の支持力、土圧といった力学的性質を理解していきましょう。

土粒子の分類

土粒子は、その大きさによって分類されます。

その名称と大きさ(mm)は以下の通りです。

  • れき  :2以上
  •    :粗砂 2〜0.425、細砂 0.425〜0.0754
  • シルト :0.075〜0.005
  • 粘土  :0.005〜0.001
  • コロイド:0.001以下
ぱんちょ
ぱんちょ

単純な内容ですが、これだけで解答できる出題があったりします↓

過去問

(R03-19)

3.粘性土地盤において、粘土の粒径は、シルトの粒径に比べて大きい。

こちらの記述は正しい内容でしょうか?それとも誤り?

解答(こちらをチェック)
→✕ 先ほどのリストの通りシルトのほうが粘土より粒径は大きいです。これだけで1点もらえるんですよね!

内部摩擦角と粘着力

土に外力が加わると、土中にせん断応力が生じる。

それが土のせん断抵抗を超えると、すべりが生じてせん断破壊が生じる。

このとき、の場合は内部摩擦角粘土の場合は粘着力により抵抗する。

(参考)砂質土ではN値が大きくなると、内部摩擦角が大きくなる。

内部摩擦角

砂の内部摩擦角は下記の装置で目視可能である。

上図でイメージしやすくなったと思いますが

砂は内部摩擦角が大きいほど、崩れにくくなり、支持力が大きくなる。

また、同じ砂であっても、その締固めの密実さや、湿気を帯びているのか、乾燥しているのかによっても内部摩擦角は変わってくる。

粘着力

粘着力は粘性土の粒子間にはたらく。

粘性土の強さはこの粘着力により決まり、粘着力が大きいほど強い。

また、土中の水分量は粘土の変形特性に影響を与える。

圧密沈下と即時沈下

圧密沈下とは…

地中の応力の増加により、長時間かけて土中の水分(間隙水)が絞り出され間隙が減少し生じる沈下

土の間隙水圧が小さいほど、圧密沈下量は多くなる。

粘性土地盤においては、透水性が小さいので、長時間にわたって圧密され、沈下量が大きくなる

反対に、砂質地盤は透水性が大きく、荷重と同時に沈下が終了する(即時沈下)ため、沈下量は少ない。

即時沈下とは…

載荷と同時(短時間)に生じる沈下のこと。

砂質地盤は、粘性土地盤に比べて、即時沈下量が大きい

液状化現象

◆液状化とは…

水で飽和した砂が、振動・衝撃により間隙水圧が上昇しせん断抵抗を失う現象のこと。

せん断抵抗を失うということは、土粒子間に生じる応力(有効応力)が0になることであり、文字通り地盤が液状になり、建築物等は重い方に傾斜したりする。

液状化により、噴砂現象(地表に砂が噴き出る現象)が生じると地盤沈下が生じる。

液状化が生じる恐れのある地盤

地震時に液状化が生じる恐れのある地盤は、以下の砂質地盤になります。

  • 地表面から20m以内の深さにあること。
  • 砂質土で粒径が比較的均一な中粒砂等からなること。
  • 地下水で飽和していること。
  • N値が概ね15以下であること。

ちなみに…

液状化の判定が必要な飽和土層の条件は、以下の2点を満たす場合

  • 地表から20m以浅の土層
  • 細粒土含有率が35%以下
ここで過去問です。

ここまでの内容から次の問題を解いてみてください。

(R06-19)

4.砂質土層では、一般に、細粒分含有率が大きくなるほど、液状化発生に対する安全率FLは小
さくなる。

こちらの記述は正しい内容でしょうか?それとも誤り?

解答(こちらをチェック)
→✕ 液状化の調査が必要なのは細粒土含有率が一定値以下の場合ということからもわかるように、細粒土含有率が大きくなるのは安全側です。

砂質土と粘性土

砂質土と粘性土の特徴の違いは以下の通り。

◆砂質土

  • 内部摩擦角が大きいものは支持力が大きい。
  • 沈下時は即時沈下で、その沈下量は小さい。
  • 間隙が小さく、含水比も小さい
  • 透水係数が大きい。
  • 粒径が大きい。

◆粘性土

  • 内部摩擦角に関係なく、粘着力の大きいものが支持力が大きくなる。
  • 沈下は圧密沈下で長期にわたって生じ、その沈下量は大きい。
  • 間隙が大きく、含水比を大きい。
  • 透水係数は小さい。
  • 粒径は小さい。

今回は以上です。いかがでしたでしょうか。

私自身、学習時に液状化はサラサラと流れているので、粒径が小さいもので生じている現象だと思い込んでいましたが、粒径の小さいシルトや粘土では生じにくく、砂質土で生じる現象なんですよね。

少しはお役に立ちましたでしょうか。それではまた。

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