今回は傾斜地盤についてです。令和6年のNo.19の1枝に出題されたました。これまで出題されることはありませんでしたが、問題の文章からはイメージつかない方がいるのではないかと思いまして…(私はすぐにイメージできませんでした…)整理することにしました。問題を読んですぐに理解できた方もいらっしゃると思いますが確認ということでお付き合いください。

今回は早速過去問からみていきましょう。
過去問(傾斜地盤)
(R06-19)
3.傾斜地盤の斜面の一部を切土によって除去して、その部分に建築物を建築する場合、切土に
よって除去された土の重量に比べて建築物の重量が大きいと、斜面の安定性は低下する。

どこの斜面の安定性のことかイメージできませんでした…

まずは「斜面の一部を切土によって除去」のイメージのために切土・盛土の意味を確認しましょう。
切土・盛土
◆そもそも「切土」って?
傾斜地や高低差のある土地の一部を削り取って低い地盤面で平らにする工事のこと。
◆ちなみに「盛土」って?
地形を高くするために別の場所から運ばれてきた土砂を積み上げる工事のこと。

問題の傾斜地盤のイメージ

実際に問題の状況のイメージをみてみましょう。先ほどの切り土した土地に建築物をのせると…


あ、なるほどね。なんか複雑に考えてました。

ここまでイメージできれば解答自体は難しくないですよね。
問題の傾斜地は図のように、斜面の一部をカットして、その部分に建築物を建設しています。
解答は…
設問の枝の記述は「正しい」、ということになります。
切土によって除去された土の重量と建築物の重量がほぼ同じであれば斜面全体の安定性は切土前と変化はしませんが、設問のように建築物の重量が大きいと安定性が低下します。
(参考)図中に「対策」と追記しましたが、すべり線の末端部に盛土(押え盛土)をすると、盛土の重量が斜面の滑りに対する押さえ効果として作用するので、安定性は増すことになります。
斜面近傍に地盤について
ここからさきは、過去に出題例がないため余裕のある方は今後のためにご確認ください。
斜面近傍の建築物について。直接基礎は鉛直支持力が、杭は鉛直支持力、水平抵抗が斜面の影響を受け低下する傾向にある。また、沈下や水平変位も同様に大きくなる傾向がある。
過去に出題の例があるわけではないが、上記の内容に影響を与える要因については、今後のために押さえておきましょう。
次図に注釈のあるものが、影響を与える要因になります。

更に、次図に示すように、斜面近傍に建築物を支持する杭基礎に斜面方向の水平力が作用すると、斜面から離れた位置の杭の負担水平力が大きくなります。
地震時の杭基礎の検討においては、このような負担水平力の差異も検討する必要があります。

まとめ
今回は以上です。いかがでしたでしょうか。
この範囲は特に出題頻度が高いという範囲ではないんですよね。ただ、個人的に設問からイメージがしづらかったのでとりあげました。イメージができてしまえば当然の内容でどうということはないんですけどね。
最後には、補足として今後出るかもということで過去に出題はありませんが、近しい内容をつけておきました。時間に余裕のある方は参考にどうぞ。
また、一つ前に液状化にまとめております。同じ地盤ということでぜひ確認してみてください。
少しでもお役に立ちましたでしょうか。少しでも得点につながれば幸いです。
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