【環境】温熱指標について。SET*(標準新有効温度)が25℃なら温冷感は「快適」?PMV、OT、MRT、WBGTってなんだっけ?重要テーマをわかりやすく解説!

一級建築士

温熱指標について。この範囲からはほぼ毎年出題があります。基本的には、過去問を解いておくことで対応できるようになっていますが、最近では室内の暑さ指数(WBGT)なんていう新しいキーワードも出てきてます。

本記事では、温熱指標とは何か、どんな種類があり、どのように出題されるのかを、初心者にもわかりやすく解説していきます。特に「指標ごとの違い」を押さえることが得点につながりますので、最後までぜひご覧ください。

A男
A男

あー、温熱指標かー。しばらくすると忘れちゃうんだよね。

ぱんちょ
ぱんちょ

似たような内容が多いですからね。

A男
A男

なんかわかりやすい覚え方ないかな?

ぱんちょ
ぱんちょ

代表的なものの構成要素をまとめたあと、図にしてみましたから確認してみてください!

代表的な温熱指標とその一覧

有効温度(ET:Effective Temperature)

有効温度は、気温・湿度・風速の組合せよって体感を表す尺度のこと。

ある気温・湿度・風速のとき、それと同じ体感を感じる気温で、湿度100%、風速0m/sに相当するものをいう。

修正有効温度(CET:Corrected Effective Temperature)

修正有効温度は、有効温度に放射を加味する。

温熱4要素である気温・湿度・風速・放射を考慮した指標のこと。

新有効温度(ET*:Effective Temperature Star)

新有効温度は、ある環境での温熱感覚を、その環境と同じ人体の発汗状態、平均皮膚温となる、相対湿度50%のときの気温によって表す。

人体のぬれ率と平均皮膚温に基づく複雑な理論式で算出され、快適範囲に限らず、暑熱環境、寒冷環境の評価にも適用される。

※ぬれ率:ぬれた皮膚の面積と体表面積との比。人体の発汗状態を表す。

 

標準新有効温度(SET*)とは…

相対湿度50%、椅座位、着衣量0.6clo、静音気流0.1m/s、平均放射温度=空気温度の状態に標準化し、比較可能にした新有効温度のこと。

ASHRAE(アメリカ暖房・冷凍空調学会)は、80%以上の人が環境に満足感を覚えるのは、標準新有効温度が22.2℃〜25.6℃の範囲としている。

予測平均温冷感申告(PMV:Predicted Mean Vote)

PMVは熱的中率(寒くも熱くもない)に近い状態において、大多数の人が感ずる温冷感の平均値理論的に予測した温熱指標である。

人体の熱負荷に基づく複雑な理論式で算出され、温熱4要素着衣量代謝量の6要素を理論式に代入して数値を算出し、その数値で大多数の人が感ずる温冷感を予測する。(+3暑い、+2暖かい、+1やや暖かい、0どちらでもない、−1やや涼しい、−2涼しい、−3寒い)

PMVは、熱的中立に近い状態における温熱指標であり、発汗を生じるような暑熱環境や、寒冷環境の評価には適さない。また、不均一な放射環境上下温度分布が大きな環境及び通風環境に対して適切に評価できない場合がある

PPD(予測不快者率):PMVと関連して、熱的に不満足を感ずる人の割合を示す指標。PMVの値が0のとき、PPDの値は最小になる。

◆PMVによる快適範囲は…

−0.5<PMV<+0.5を推奨している。この範囲にあれば、PPD<10%であり、熱的に不満足と感ずる人の割合を10%未満に押さえられると予測される。

作用温度(OT:Operative Temperature)

ある環境において、人体が周囲空間との間で対流と放射による熱交換を行うのと同量の熱を交換するような、均一温度の閉鎖空間の温度として表される。

  • 空気温度、気流、放射の組合せによる温熱指標で、放射暖房を行う際の指標の一つとして用いられる。
  • 主に発汗の影響が小さい環境下においては、空気温度平均放射温度の重み付け平均で表される。
  • 静音気流(0.2m/s以下)のとき、空気温度と平均放射温度との平均値で示される。効果温度ともいう。

平均放射温度(MRT:Mean平均 Radiant放射 Temperature)

周囲からの熱放射によって人体が受ける熱量の影響を表すもので、周壁温度の面積平均で近似される。また、グローブ温度空気温度風速から次式により求められる。

不快指数(DI:Discomfort Index)

これは過去に出題はありません。余裕があれば確認してください。

上の式で算出した数値が75以上で「やや暑い」、80以上で「暑くて汗が出る」、85以上となると全員「暑くてたまらない」とされる。夏期、戸外の蒸し暑さの不快感を表す指標。

温熱指標と構成要素を図にまとめると…

暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)

これは令和6年からの新傾向の問題です。

暑さ指数は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標で、湿球温度グローブ温度から求められます。

過去の出題

さらに、ここから過去問を確認してポイントをおさえていきましょう!

(H29-02)

1.予測平均温冷感申告(PMV)は、主に均一な環境に対する温熱快適指標であることから、不均一な放射環境や上下温度分布が大きな環境等に対しては、適切に評価できない場合がある。

 

こちらの記述は正しい内容でしょうか?それとも誤り?

解答(こちらをチェック)
→◯ 前述したとおりですね。

(R06-02)

2 .SET*標準新有効温度)が 25 ℃の場合、温冷感は「快適、許容できる」ものの範囲内とされる。

 

こちらの記述は正しい内容でしょうか?それとも誤り?

解答(こちらをチェック)
→◯ 22.2℃〜25.6℃の範囲を快適としていましたね。

(R03-02)

1 .予測平均温冷感申告(PMV)の値が 0 に近づくに従って、予測不満足者率(PPD)は高くなる。

 

こちらの記述は正しい内容でしょうか?それとも誤り?

解答(こちらをチェック)
→✕ PMVが0のとき、PPDの値は最小になります。

まとめ

今回以上です。いかがでしたでしょうか。

温熱指標は、単語だけ見ると難しそうですが、実は「何を考慮しているか」の違いさえ押さえれば、比較的覚えやすい分野です。構成要素をまとめた先ほどの図を参考にしてみてください。

一級建築士試験は知識の積み重ねが得点力につながります。温熱指標は一度理解してしまえば得点源になる分野です。この記事が、あなたの学習の一助になれば幸いです!

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