「環境」からは毎年計算問題が出題されています。令和6年の出題は自然換気(重力換気)からの出題でした。環境の計算式は複雑なものが多いですが、問題の変数として出題される項目は意外と限定されています。変数が基本式のどこにあるかを掴んでいれば解答できる問題がほとんどです。それでは一緒に見ていきましょう!
「環境」に出てくる基本式って複雑なものが多くないですか?
たしかにそうですね。ただ、問題を解くだけであれば丸暗記しなくても良さそうですよ。
そうなんですか!?それは助かります。
それでは一緒に基本式の要点をおさえていきましょう!
自然換気
自然換気は大きく2つに分けることができます。
風力による換気と、温度差による重力換気の2つです。それぞれ、室内外の温度差や、開口部の位置、大きさ等により条件が変化し、その大小を問われる問題が出題されています。
自然換気とは、空気が圧力の高いところから低いところへ流れていくという性質を利用したものです。
基本式
基本式がこちらになります。
上記の式が、風力による換気、温度差による換気の内容に合わせて変化します。これが基本の形です。
出題されるのは、これを応用して風力、温度差の換気量を問うものになります。
流量係数って?
流量係数とは、開口内壁面の摩擦、形状によって決まる関数のことです。
通常の直角な開口の流量係数が0.65〜0.7程度に対して、ベルマウス形状(ベルの口のような形)は1に近い数値となります。
つまり抵抗が少なく、通常の開口より換気量が大きくなるということですね。
のちのち設計製図で記述の解答に使えたりするので参考までに。
風力による換気量
風力による換気量はこちら
ここで、最も変数として出題されるのが V:風速 です。
換気量Qは風速に比例するということをおさえておくとよいでしょう。外部風向と開口条件は一定として出題されるケースがほとんどです。
過去の出題より(R03-03、H30-03)
風力による換気の出題パターンはワンパターンなものが多いですね。
(R03-30)
4 .建築物が風圧力のみによって換気される場合、その換気量は、外部風向と開口条件が同じであれば、概ね外部風速に比例する。
(H30-03)
3.風圧力によって室内を換気する場合、その換気量は外部風向と開口条件が一定であれば、外部風速の平方根に比例する。
温度差による換気量(重力換気)
温度差による換気量はこちら
ここでよく出題されているのは、A:開口部面積、h:上下開口部の中心間の垂直距離、ti-to:室内外の温度差の3点です。
換気量Qは開口部面積に比例し、垂直距離、温度差の平方根に比例する、ということをしっかり覚えておきましょう。
よく出題されるパターン
(参考)図のような上下に開口部を有する断面の建築物がある。外気温5℃、無風の条件下であり、室内温度は18℃である。
実際の出題では、上記と同じ条件で他2パターンほど開口面積と中心間距離のみ違う建築物がならび、換気量の大小を比較する内容となります。
換気量は開口面積に比例し、中心間距離の平方根に比例します。ほかの条件は同じなので、この計算の大小で換気量を比較すればOKです。
直近の過去には令和6年の他、平成26年、令和元年にも同様の問題が出されています。
中性帯とは?
室の内外に圧力差が生じる場合に、外部の大気圧と同じになる垂直方向の位置があります。それのことを中性帯といいます。
一般的に中性帯の上方と下方で分けることで、自然換気が行われます。
また問題としてよく問われるのが上下の開口面積が異なる場合、大小どちらの開口に中性帯が近づくかというもの。
答えは開口部の大きい方に近づく、です。
これは、開口部の大きい方の内外の圧力差が小さくなることによるものです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。式は複雑なものもありますが、変数として出題されるのは、ほぼ毎回同じということで、おさえるべきポイントはそこまで多くなかったのではないでしょうか。過去問も何度か繰り返していると、基本式より前に大小の比較ができてしまうかもしれませんね。
今回は以上になります。少しでもお役に立てれば嬉しいです。
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