【計画】人間の行動や心理の特性と計画。ソシオフーガルな関係ってどんな関係?メルテンスの法則による囲み感?そのほかよく出るキーワードは?

一級建築士

人間の行動や心理特性と関連したカテゴリーは【計画】のなかでは建築基本計画にカテゴライズされています。建築基本計画からは毎年1〜2問の出題があり、その中でも本件は数年ごとには出題があります。聞き慣れない単語が並びますが、自身の体験と比べながら学習するとなるほどな、と思えることが多いかもしれません。ここでは、よく出るキーワードを中心に解説していきますので一緒に学習していきましょう。

A男
A男

「ソシオフーガル」な関係って…、そんなの言ったことないよ。

ぱんちょ
ぱんちょ

そうですよね。この範囲は聞き慣れない単語が並びますね。

A男
A男

「パーソナルスペース」ならなんとなくわかるかな。

ぱんちょ
ぱんちょ

「パーソナルスペース」も問題になるとちょっと難しいですよ。一緒に見ていきましょう。

環境と心理

人間のモノの見え方、距離感の感じ方など。それぞれの名称、特徴をおさえていきましょう。

メルテンスの法則

H.メルテンスによる「メルテンスの法則」。

建築物のファサードの高さ(H)に対する視点から建築物までの水平距離(D)比率(D/H)により建築物の見え方の変化を数値で表す方法。

屋外空間の開放感や閉鎖感を示す指標となっており、一般的にD/Hが1以下のときは完全に囲まれていると感じ、2程度で最も快適、4以上になると囲まれた感じが消失する。

それぞれの比率を図にすると、下図のように↓

次に過去問を解いてみましょう!

特徴だけを丸暗記しただけでは解答できなかった年の問題です。

過去問(R03-06)

(R03-06)

3 .H. メルテンスは、「建築物の高さ」と「視点から建築物までの水平距離」の比によって建築物の
見え方の変化を尺度化した。

こちらの記述は正しい内容でしょうか?それとも誤り?

解答(こちらをチェック)
→◯ 記述の通り。ここでは比率による見え方ではなくて、法則とその特徴が問われる出題でした。

パーソナルスペース

「パーソナルスペース」とは…

個人の周りにある心理的領域のこと。他人が一定の距離よりも近づくと気詰まりになり、離れたいと感じるようになる。

この心理的領域の大きさは姿勢によっても異なる。立位や、起座位(椅子に座った姿勢)に比べ、平座位(床などに楽に座った姿勢)のほうが領域は小さくなる

エドワード・ホールは、人間同士の距離のとり方等の空間の使い方は、それ自体がコミュニケーションとしての機能をもつと考え、距離をコミュニケーションと対応させて四つの距離帯に分類した。その4つの距離帯とは、密接距離、個体距離、社会距離、公共距離のことである。

パーソナルスペースとは「目に見えない心理的な境界」であり、そのスペースは自分の身体と一緒に移動し、スペースの形は前方に比べて横のほうが狭く、道の人が横から近づいても寛容でいられるされている。

テリトリー(なわばり)

テリトリーとは…

ロバート・ソマーは、パーソナルスペースと異なり、土地や建物のように場所が固定された領域で、塀や囲いなどの「目に見える物理的な境界」をもっていると提唱した。

過去問(R03-06)

(R03-06)

ロバート・ソマーは、テリトリー(なわばり)は個人についてまわり、持ち運びができ、その空間のかたちは必ずしも球形ではなく、前方に比べ横のほうは未知の人が近づいても寛容になれることを示した。

こちらの記述は正しい内容でしょうか?それとも誤り?

解答(こちらをチェック)
→✕ この問題のテリトリーの説明はどこかで聞いたことがある特徴ですよね。そう!先ほど学習したパーソナルスペースの「目に見えない心理的な境界」説明ですよね。

ディフェンシブル・スペース

ディフェンシブル・スペースとは…

オスカー・ニューマンは、物理的・象徴的障壁と見通しのよさをもち、住民たちがそこを「自分たちの場所」と感じているような環境(まもりやすい空間)と定義した。

ソシオペタル・ソシオフーガル

ソシオペタルとは…

そこに人が集まって交流を活発にすることが想定される囲い型や向合型の座席配置のこと。

ソシオフーガルとは…

知らない人どうしが異なる方向に顔を向け、干渉することなく待ち合わるような状態。例えば外向きの円形などの座席配置のこと。

ちなみに…

一つのテーブルを囲んで着席した場合に、その座席のいち関係によっても親密さは変わる。隣り合って座っている者どうしが最もソシオペタルな関係になり、下図はその他の関係性について示す。

アフォーダンス

アフォーダンスとは…

「提供する」という意味の動詞「afford」からつくられた造語。環境やその中の事物が、動物の特定の行動を可能にする(提供する)ために備えている特性をいう。

たとえば、固くて水平な地面は、人が立ったり歩いたりする行動を可能にするアフォーダンスを備えていることになる。

プレグナンツの法則

プレグナンツとは…

「簡潔さ」という意味。対象を一つのまとまりとして知覚し、完結で安定した秩序ある「よい形」として捉えようとする傾向がある人間の特性。

まとめ

今回は以上です。いかがでしたでしょうか。

この他にも見え方に関する線遠近法や錯視補正なんていうキーワードもありますが、あまり出題されることはないようなので今回は省略しました。これだけでも、出題された際に消去法で得点できる問題も出てくると思います。

特に「メルテンスの法則」、「ソシオフーガル」、「パーソナルスペース」については何度か繰り返し出題されていますので理解しておきましょう。

この記事が少しでも得点につながれば幸いです。それではまた!

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