建築積算の分野からはほぼ毎年1問出題されています。そのなかで今回取り上げるのは比較的裾野が広い「鉄筋コンクリート工事」。感覚的に解答できるものもあるので難易度としては易しい部類だと思いますが、繰り返し出題されている内容で知識がないと解答できないものもありますからポイントを押さえておきましょう!
簡単にみえて紛らわしい出題が多い印象がありますね。
あれ?コンクリートの開口部っていくつ以下が欠如なしでしたっけ?0.5m²?0.1m²?
他の積算ルールと混同しがちですよね。まずは鉄筋コンクリートから押さえていきましょう!
鉄筋の数量
原則、コンクリートの設計寸法から求めます。
所要数量
鉄筋の所要数量は、その設計数量の4%の割増をする。
【参考】その他の所要数量。設計数量に乗じる割増率。
- ボルト類:4%
- 形鋼、鋼管、平鋼:5%
- 鋼板、広幅平鋼:3%
- 木材:5%
この割増率は、建築積算のなかでも出題率が高めです。鉄筋以外も押さえておきましょう。
鉄筋の長さ
先端で止まる鉄筋の長さは、コンクリートの長さとする。
また、フックが指定されている場合は、その長さも加える。
ただし、径13mm以下のフックは除く。
フープ(柱の帯筋)、スタラップ(梁のあばら筋)の長さは、コンクリートの断面の周長の長さとし、フックはないものとする。
【参考】過去の出題より(平成30年)
図のような鉄筋コンクリート構造の柱の積算上の1本の帯筋の長さはいくつか。なお、帯筋はスパイラルフープではないものとする。
という図から読み取る出題がありました。
解答は2,400mm。
先述したように、帯筋の長さはコンクリート断面の周長で、フックは含まないため。
継手の箇所数
継手箇所数は鉄筋の長さについて径13mm以下の鉄筋は6.0mごとに、径16mm以上の鉄筋は7.0mごとにあるものとみなす。
そのほか部位ごとの主筋の継手の数は…
- 柱:各階ごとに1ヵ所あるものとする。ただし、主筋の長さが3.0m以上を超える場合は1箇所設ける。
- 梁:梁の長さ5.0m未満は0.5ヵ所。5.0m以上10.0m未満は1ヵ所。10.0m以上は2ヵ所あるものとする。
- 床板:床板の長さ4.5m未満は0.5ヵ所。4.5m以上9.0m未満は1ヵ所。9.0m以上13.5m未満は1.5ヵ所。
【参考】スタラップの割付本数(過去問:H28)
過去のには継手の箇所数ではないですが、スタラップの本数を問われるものがありました。
こちらの図から、梁のスタラップの割付本数として正しいの値を求めるというもの。
正解は、39本。
5,600mmの梁を@150mmで分割すると、約37.3となります。
37分割では150mmよりピッチが開いてしまう箇所ができますので、38分割になります。
38分割して両端にスタラップを1本づつ設けると、本数は39本になります。
建築の問題というか、算数ですね。問題ないと思います!
階段部の鉄筋の長さ
階段部の鉄筋の長さは、コンクリートの踏板、蹴上の長さに継手、定着長さを加えたものとする。
鉄筋の欠如
窓などの開口部は、1ヵ所あたり内法面積が0.5m²以下の場合は鉄筋の欠如はないものとすることができる。
コンクリートの数量
コンクリートの数量は設計寸法により計算した体積です。
コンクリートの体積
各部の数量は以下の通り…
- 床板:設計寸法による板厚と梁等に接する内法面積による体積とする。
- 壁:設計寸法による壁厚と他の部位と接する内法面積による体積とする。
- 階段:設計寸法によるスラヴなどの板厚とその内法面積による体積とする。
コンクリートの欠如
コンクリートの欠如は以下のようになる…
- 鉄筋、小口径管類(設備配管等)によるコンクリートの欠如はないものとする。
- 窓などの開口部の内法の見付面積が1ヵ所あたり0.5m²以下の場合は、コンクリートの欠如はないもとする。
- SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の鉄骨によるコンクリートの欠如は、鉄骨7.85tを1.0m³として換算する。
型枠の数量
コンクリートの部位ごとに計算する。
階段の型枠の数量は、コンクリートの底面および他の部分と接する側面、踏面並びに蹴上の面積とする。
数量に加える対象
型枠の数量として加えるのは以下の部分…
- 屋根等の斜面で勾配が3/10を超える部分。
- 階段の踏面部分の上面型枠。
- 階の中間にある壁付きの梁の上面。
型枠の欠如
窓などの開口部で、1ヵ所あたりの内法面積が0.5m²以下の場合、型枠の欠如はないものとする。
また、窓などの開口部の、見込み部(側面、奥行き部)の型枠は数量に加えない。
【参考】その他の欠如
紛らわしい数値の問題で、その他の材の欠如について問われることがあります。
- 石材は開口部の面積が1ヵ所あたり0.1m²以下のとき、欠如はないものとします。
- 鋼材においてはリベット、ボルト類による孔あけ、開先加工、スカラップによる1ヵ所あたり0.1m²以下のダクト孔などの欠如はないものとします。
- 木材の設備配管等により1ヵ所あたり0.5m²以下の場合は、その欠如はないものとします。
- 植栽における芝類は1ヵ所あたり0.5m²以下の場合は、その欠如はないものとします。
以上になります。いかがでしたでしょうか。簡単だったのではないでしょうか。今回もすこしでもお役に立てば嬉しいです。
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