【設計製図】ランクⅣ(=重大な不適合)にならないために。最低限必要なチェックを怠らない!

一級建築士

試験元より重大な不適合の要件について発表されています。どれだけ良く図面が引けていても、この一点がチェックできていなかったために不合格だった、という方はたくさんいると思います。たとえ3時間切って図面を引くことができても、きちんとした確認ができなければ合格の確率は下がってしまいます。私が陥ったミスと合わせてご確認ください。

未完成

いわずもがな、要求図面(平面図、断面図)、面積表、記述(計画の要点)未完成のものは「重大な不適合」に該当します。

面積表は、エスキスに時間をかけすぎてしまうと焦って忘れがちです。演習段階から、手順を決めて手順通り進める習慣をつける良いと思います。時間ギリギリに気づいて、記入が間に合わないとそれだけでだめになってしまいます。

また記述については、わかるなくても何かしら書いて空欄を作らないこと。試験元の発表の通り未完成は重大な不適合ですが、記入後の間違いは減点ですみます

階数、面積違反

階数、延べ面積、建築面積が問題に記載の設計条件に適合していなければ「重大な不適合」となります。

階数については、令和4年の試験では指定がないものが出題されました。基準階を計画するような「事務所ビル」のような課題の場合は平面図が3枚でも自由に階数設定ができますので注意が必要でしょう。

面積については、容積率、建ぺい率の他に「○○㎡〜○○㎡」と指定される場合があります。%を満たしていても指定されている範囲の面積に収まっていない場合もありますから、両方とも満たしていることを確認しましょう。

エスキスを雑に仕上げてしまい、吹き抜けや屋上設備スペース分の面積を計算し忘れるということが何度かありました。エスキスに時間をかけてしまうと焦って見落としがちなので注意してください。

特に作図段階で修正する場合に、指定された範囲の面積から逸脱しまうことがあります。

また、令和5年では容積率が3階建で300%とする出題となり、延べ面積の制約がない出題もありました。最近の出題傾向は制約が少なく、条件から受験者自ら適切な大きさを導き出すようにしているような傾向を感じます。

図面の不整合

柱、階段、エレベーターの上下階での不一致平面図と断面図の相違などは「重大な不適合」となります。

柱、階段、エレベーターについてはなかなか間違えにくいと思いますが、作図の初期段階で通り芯の下書きを間違ってしまう場合に起こりうる内容です。通り芯は目視で目盛りを追ってもよいですが、より確実にするために定規で寸法を打っておくほうが良いでしょう。

また、「重大な不適合」になりうる柱の計画について、「丘立ち」というものがあります。
具体例として、1階にPC梁を設け柱を1スパン飛ばした場合、飛ばした柱の2階の直上に設けた柱のことを指します。これは構造上良くなく、構造に対する理解が足りていないのみなされてしまいます。
この際に、2階を無柱するとその上階も無柱にする必要があるのですが、こちらも見落としがちなので注意しましょう。

階段エレベーターについては、梁をまたいだ計画にはできません
平面図ばかりをずっとみて階段とエレベーターの配置を考えていると、ついつい梁の存在を忘れてしまいます。階段とエレベーターは、他の居室とは違って吹き抜け空間であり、梁をまたいで計画することはできません。こちらも重大な不適合とみなされます。

平面図と断面図の不整合については、単純ですが切断位置を、見間違えないようにすることが大切です。切断位置は平面図の両端に描くので、間仕切壁が煩雑になっていたりすると断面図に壁を描く際に間違ってしまします。

特に、モジュールから外れた位置の間仕切り壁、断面図の作図のために下線を入れるのですが、その下線を見誤って壁を描いてしまいがちです。

要求室・施設等の欠落

指定された要求室・施設等の欠落があった場合は「重大な不適合」となります。

要求室については、室名の記載漏れ室名の誤りも重大な不適合とみなされる可能性があります。

要求室は作図するだけでなく室名まで記載して成立します。エントランスホール1、エントランスホール2といったように、同じ名前でも番号により分けられている場合もありますので1室だけ書いて安心しないように。

また、同じ用途に使用する室でも名称が異なる場合があります。資格学校の課題では「多目的便所」としているところを試験においては「バリアフリートイレ」というように表現されているケースもありますので、思い込みで書いてしまわず必ずチェックしましょう。

法令の重大な不適合

法令の重大な不適合はもちろん、法律違反ですから「重大な不適合」になります。
試験問題の特性にもよりますが注意すべき主な内容は以下です。

  • 高さ制限に適合していない。道路斜線、隣地斜線、北側斜線等。
  • 延焼ラインの誤り、未記入及び延焼ラインにかかる防火設備の未記入。
  • 特定防火設備の未記入。階段室、エレベーター、吹き抜け空間等。
  • 居室の採光の確保。床面積の1/7必要。
  • 避難経路の歩行距離重複距離の超過。
  • その他、敷地内の避難経路等。

他にもありますが、これらはどの課題でも検討すべき内容になるかと思います。それぞれの項目については内容が複雑なので、ここではチェック項目としてリストとして並べるに留めておきます。

PS、EPS、DSが全く計画されていない

PS、EPS、DS、これらが全く計画されていないということは、設備計画が成立していないことを意味しますから、やはり「重大な不適合」みなされると思います。

これらは、要求室のように具体的に課題で求められませんから忘れてしまいがちです。適切に計画する必要がありますが、全くない、と不足では判定が違いますので注意しましょう。

PSは給排水設備のために必要ですし、EPSは電気配線、DSは空調設備の配管です。令和5年の課題に置いては、計画の要点(記述)で「設備配管の取り出し口(はと小屋)」の位置を求める内容もあり、より立体的に配管、配線のイメージをできるようになっておく必要が出てきました。

慣れには注意!チェック手順を決めて毎回同じ手順でチェック!

「重大な不適合」となる内容はこれだけではありません。この他にも対応が必要になりますが、ここでは、どの課題でも求められるものについてまとめました。

私は設計製図試験を2年目で合格しましたが、合格までに100枚近く図面を引いてきました。その中で慣れからミスを連発する時期がありました。何度チェックしても間違いがない箇所について、チェックを怠ってしまうようになるのです。

ただし、その怠ってしまう内容こそが最低限遵守べき内容であり、間違うことで重大な不適合となってしまします。

解決方法として、チェックする手順を決めて毎回同じ手順でチェックするということを実行するようにしました。そのチェック方法というのは、問題用紙のマーカーを引いた箇所をあらめて順番に読み返し、つどつど図面と見比べるというのものです。単純ですが効果はありました。

他にも方法はあると思いますが、なにか参考になればと思います。

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