令和5年設計製図試験では、北側斜線制限に対応する必要がありました。あらためて、北側斜線制限やその他の斜線制限を確認してみましょう。
北側斜線制限
北側斜線制限は、第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種・第二種中高層住居専用地域のみで適用されます。
計算式
- 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域においては「5m+1.25l」
- 第一種・第二種中高層住居専用地域においては「10m+1.25l」
※lは前面道路の反対側の境界線、又は隣地境界線までの真北の水平距離。
令和5年の設計課題においては
問題の「1.敷地及周辺条件」に
⑶ 敷地及びその周辺は、第二種中高層住居専用地域(道路高さ制限及び隣地高
さ制限における斜線勾配はそれぞれ1.25とする。)及び準防火地域に指定されて
いる。
という形で出題されました。
そしてポイントはここです。
北側は公園でしたから、隣地境界線から計算する形になります。道路斜線制限と隣地斜線制限と同様のセットバックによる緩和や公園・広場等による緩和は受けられません。これは、学科試験の法規において出てくる問題ではありますが、計算式だけを覚えていた方は、混乱したのではないでしょうか。
本試験においては、ここで配置計画を北側に寄せた場合は、3階部分を一部、北側斜線制限に当たらないようにバルコニーやフラットルーフにして高さを下げる必要がありました。総3階建てで計画する場合においては、配置を南に寄せる必要があり、配置計画が難航したかと思います。
道路斜線制限
道路斜線制限は、すべての用途地域において適用されます。適用距離については、試験においては範囲内にあると考えて良いと思います。
計算式
- 住宅系の用途地域においては、「1.25A」
- 商業系、工業系の用途地域においては「1.5A」
※Aは前面道路の反対側境界線までの水平距離。建物が後退した場合はその距離の2倍を加える。(セットバックによる緩和)
セットバックの緩和が除外されるもの
- 建築物の部分で高さが1.2m以下のもの
- 物置、ポーチ等で条件を満たしたもの
- 道路に沿って設けられる高さ2m以下の門や塀。ただし、高さ1.2mを超える部分が網状であること。
- 隣地境界線に沿って設けられる門や塀
前面道路が2方向以上ある場合の緩和
後日詳しくまとめる予定ですが、ここでは敷地が2方向以上の道路と接する場合に狭い方の道路の幅を広い方の道路と同じ幅とみなして斜線制限の計算ができる緩和と説明させていただきます。その範囲は広い方の道路との接点から「2A(Aは広い方の道路)かつ35m以内」において適用されます。
前面道路の反対側に公園、広場、水面がある場合の緩和
前面道路の反対側に公園、広場、水面がある場合は、その公園等の反対側の境界線から道路斜線制限の検討をします。
隣地斜線制限
住宅系で20m、商業系で31mを超える場合にのみ検討します。
計算式
- 建物の高さが20mを超える住宅系において「20m+1.25l」
- 建物の高さが31mを超える商業系、工業系において「31m+2.5l」
※lは「壁面と隣地境界線の距離」に「壁面と隣地境界線までの距離」をくわえたもの
高さに算入しない部分
北側斜線制限については緩和の適用はない。
階段室、昇降機塔、屋上設備スペース(空調、電気設備等)等の水平投影面積が当該計画建築物の建築面積の1/8以内の場合はこれらの高さは参入しない。
ちなみにコンクリート等でできたパラペット部は高さに参入するが、パイプでできた手すり等は高さには参入しない。
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