【設計製図】私のエスキスの検討順序を整理してみました。(追記:令和5年合格しました!)

一級建築士

4月に入り設計製図の学習をはじめました。まだ課題は発表されていませんが、過去の課題を復習したりしています。そこで自身の学習の整理の意味も兼ねてエスキスの検討順序を整理してみました。様々ご意見があると思いますが、気になる方は参考にしていただければと思います。ここでは公共施設を想定したエスキスの場合です。

①アプローチの検討

まずは「施設利用者」「サービス・管理者」のアプローチを検討します。

最初に確認するのは敷地と道路の関係です。
一面道路、二面道路、三面道路など。また道路幅が広く、歩道がついていればメインの動線にしやすいですし、サービス・管理のアプローチはもう一方になるでしょう。

つづいて周辺環境はどうか。
例えば最寄りの駅からの集客を見込む場合、隣接施設との連携を図る場合、幼稚園や児童公園がある場合など。駅が近くにあればメインのアプローチとなるでしょうし、隣接施設との連携を図る場合は道路からのアクセスだけでなく隣接地からのアクセスも検討すべきでしょう。また幼稚園や交差点が付近にある場合は車両の駐車場の位置についても検討が必要です。

②グルーピング

要求室を部門ごとにまとめていきます。

大きくは「施設の利用部門」「共用部門」「管理部門」の3つに分かれます。
ここでの「施設の利用部門」は計画建物により変わり、更に分けられることもあります。

部門ごとに分けることができましたら、各要求室の他の要求室との関係性や、条件をここで整理しておきます。周辺環境に合わせた大まかな要求室の位置も確認できます。

例えば
「〜からのアプローチを考慮する」とあれば 〜から入れるように計画します。
「〜の眺望に配慮する」とあれば 〜に向けて室の配置が必要です。
「〜に隣接させる」とあれば 〜の室と隣接して要求室を計画します。
など。

機能図をかいて関係性のある要求室同士を線で結んでおくと視覚的に理解しやすくなります。

③要求室の面積の整理

要求室の面積の確認をしていきます。

面積については具体的に数値で出されているものもあれば、「適宜」としているものもありますから設計条件から推測して計算しておきます。利用する人数から計算する場合や、設置する設備を想定して計算する場合など、これは課題が発表されれば事前に対策しておくことが可能だと思います。

各要求室の面積が算定し終えましたら、すべての面積を合計し、容積率内に収まるか、容積率に対してどの程度の余裕があるのかを確認します。

また屋外の駐車場や屋外テラス、屋外庭園などの大きさについてもここで確認しておきます。

ちなみに資格学校では○○㎡程度の場合上下10%内に収めるように指導されました。〇〇㎡以上の場合は上限に対する減点はないと聞いています。

④グリッドの検討

計算した要求室の面積からグリッドを検討していきます。

グリッドの大きさについては2つの条件から検討していきます。

1つ目の条件は建築可能範囲の確認です。

建物の階数から最大高さを計算し、道路斜線制限によりどの程度道路境界線から下がる必要があるのか、駐車場や屋外施設の確保のためにどの程度外周をあけておく必要があるのかを検討します。

屋外テラスでしたら奥行きは3mは欲しいところですし、植栽の植樹の大きさ直径○mと指定されている場合もあります。また隣地境界線から壁心までは要求がなくても2mは離しておきたいです。

上記の条件を整理することで実際に建築できる範囲というものが決まってきます。

ここでグリッドの検討ができます。
グリッドは一辺6m、7m、8mで考えるのが一般的です。36mの長さを分けるなら6mのグリッドだときれいに分けられますし、49mだと7mできれいに分けられます。きれいな倍数でなければ組み合わせる必要もあるでしょう。基本的には細かく分けるほど計画が柔軟にしやすいと思います。

つづいて検討したグリッドが「建ぺい率」を超えていないことを確認します。超えていなければ検討したグリッドが候補に上がります。

2つ目の条件は要求室の大きさです。

ホテルや集合住宅、介護施設などの同じ大きさの居室を複数計画する場合、その大きさに収まるグリッドのほうが計画がまとまりやすいです。
例えば50㎡程度の室であれば7mx7mのグリッドにすれば49㎡できれいにおさまり室の連続を計画しやすくなります。

〇〇㎡以上の大きさが必要な場合はグリッドの組み合わせでその大きさをちょうど超える大きさになると計画しやすいです。
例えば150㎡以上の場合、7mx7mのグリッドだと49㎡x3としても147㎡となり調整が必要になりますが、6mx7mの42㎡x4だと168㎡でクリアします。

難度の高い問題では、一方の条件で検討した内容がもう一方の条件をクリアするということはないですから、複数のスパンを組み合わせる必要が出てきます。

⑤階の振り分け

要求室を各階に割り振ります。
そのうえで容積率内に収まるかどうか確認します。手順は概ね以下のようになります。

まず、要求室の性質や条件により階数が指定されているものを確認します。
例えば、具体的に○階に設けること、と指定されているものもあれば、○○と併設すること、の〇〇が地上の屋外テラスなら1階になりますし、屋上庭園なら屋上庭園の設置階になります。

そこから事前にグルーピングした部門ごとに階数を割り振る形が一般的です。同一階に複数の部門が混在することもありますが、その場合は事前の課題対策で検討しておきます。

割り振りが終わりましたら延床面積が容積率の範囲内に収まるかどうか確認します。
超過するようでしたら、一部の質を別の部門の階に移すことも検討します。その場合は当該階で動線を分離するもしくは共存できるものを移すようにするなど検討が必要になります。

ちなみに、延床面積の算定をする場合に参考にしてほしいのが、要求室以外のその他の面積(階段、通路、便所、倉庫など)は全体の3割程度になると言われていることです。これは「床面積の上限」を「要求室の合計」で割った場合に「1.4以上」の係数が得られれば計画可ということになります。

つまり、仮に「床面積の上限」が5,000㎡、「要求室の合計」が3,500㎡の場合
 5000÷3500=約1.42 → 計画可能な余裕がある。
ということです。これは各階の計算でも有効です。

⑥平面の計画に移る

最後にこれまでの内容を整理しつつ、各階の平面計画を詰めていきます。

グルーピングや階の振り分けにより大まかにゾーニングはできていますが、更にその内容を詰めていきます。ここからはトライ&エラーといった形になります。全くレイアウトが思いつかいないといった場合にもまずは描いてみることが大事です。

本試験レベルの内容はどれも一癖ありますから、単純にグリッドの収まるところに割り振ったところで動線計画が満足するものにはなりません。何度も行きつ戻りつしながら設計条件を満たすべく、計画内容を変更していくのが一般的です。そのためエスキスの用紙はA2の大きな用紙になるのです。

個人的なこだわりは不要です。設計条件さえ満たしていれば合格です。

・最後に昨年は

と、⑥の平面計画の内容はここまでが受け売りです。

私は昨年ゾーニング、管理部門の動線計画で失敗しました。結果はB判定。
問題用紙に指定されていた条件はほぼすべて満たしていたのですが、管理部門がまとまっておらず、一般利用者の動線と交錯する計画となってしまいました。それまでの学習で要求室の位置にだけ囚われてしまっており管理部門の動線計画を軽視していた結果だと思います。

また、時間内に描ききれず、時間内に描ききれた作図内容をチェックしてもらうのが講義の後半になっていたため指導のレベルが後半まで合格基準でなかったことも大きいと思います。現在は2時間半から3時間で作図できていますのでこれを維持して試験に望みたいと思います。

いい結果を得て皆様により有益な情報発信ができるようあと6ヶ月頑張っていきます。以上です、参考になれば嬉しいです。
→令和5年、合格しました!

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