これから就活という方も、転職活動をされているという方も、ハウスメーカーでの施工管理の仕事を検討されている方は参考にしていただければと思います。以前は住宅の施工管理の仕事をしていましたので、その経験からお仕事の紹介をさせていただきます。その仕事は多岐にわたります。
会社によって細かな業務内容は変わると思いますが、概ねどこも同じかなと思います。
・住宅を完成させるための責任者
一言では言い切れないほどの仕事がありますが、あえて一言にするなら「住宅を完成させるための責任者」です。
ゼネコンの建設現場の施工管理と違って複数の現場担当者で一つの現場を管理することはなく、基本一人で着工から完成まで担当します。また基本的には1棟ではなく複数棟担当します。一般的に販売されている分譲住宅の大きさの住宅でしたら1棟4ヶ月弱の工期になります。これはプレハブ住宅とそうでない住宅で異なると思います。
担当する仕事は着工する前の準備段階から始まります。工事中の工事施工店との折衝はもちろん、完成後のアフターメンテナンスについても担当します。また工事が始まりましたらお施主様との連絡や報告、工事に関するご相談の窓口にもなります。
その間に生じる現場での出来事についての責任をもつ担当者ということになります。
以下、順番にその業務の大まかな流れをご説明いたします。
①工事現場調査
まずはお客様が契約される前に、検討している敷地がお家が建てられる環境にあるか、建てるために必要な条件は何があるかというのを確認、調査しに行きます。
例えば、工事車両が入っていける道路幅があるか、ライフラインは整っているか、工事ができる条件を整えるためにどの程度の費用がかかるかなどを確認します。
これはある程度経験が必要で、経験の浅い担当者の場合はその上司が代わりに確認に行ったりします。ここで必要な条件を提示して、場合によっては契約前にお施主様に説明する必要があります。着工後にトラブルにならないようにする大事な業務です。
②図面精査
ご成約いただきましたら、契約図面から工事をするための実施図面の作成に移ります。その最終段階で実施図面の内容で実際に工事が可能か図面を精査する業務があります。
現場環境を考慮して工事が可能かどうか、内部の造作の細かな収まりなどの検討をしていきます。よりよい収まりがあれば工事側から提案したりもします。
③工程表作成、業者選定、発注業務
そしてデスクワークです。まとめてご紹介します。
・工程表作成
契約前にご契約予定の住宅の大まかな工期を決めていますが、更にここでは詳細な工程を契約工期内で作成していきます。建築士の学習にもあったアレです。各工事の入るタイミングや期日を決めていきます。工事が始まったら、この工程表からずれないように管理していきます。
・業者選定
エリアや物件の大きさに合わせて施工業者を選定し仕事の依頼をします。風呂やキッチンなどのメーカー品の施工については材工であることが多いので決まっていますが、基礎工事や内装工事などはその地域の協力業者に依頼します。協力業者というのは当社の研修を受けた専門の施工店になります。これもハウスメーカーの仕事は継続的に仕事があるため、それぞれの支店で決まっていることが多いです。
・発注業務
設計内容に合わせて約9割の工事にかかる費用が専門の部署によって算出されます。その後、その工事見積書を確認し、ときに修正したりして最終的な費用を決定し、業者に金額を提示します。そこで合意が取れましたら発注となります。これをすべての関係業者に実施し、着工までに準備します。
④現場管理、検査
前述の準備をし、契約工期の着工日に着工します。ここから現場管理の仕事が始まります。
工程表を業者に流しておしまいというわけにはいきません。よく「現場は生き物だ」と教えられましたが天候や現場環境により様々な不測の事態が生じます。それに対応しつつ工程表通りに行くように現場の段取りをし、ときには修正し次工程につなげていきます。
現場では安全対策や進捗の確認、検査、業者の手配をします。工事の節目では、お施主様を現場にご案内したりします。またお施主様への工事中の進捗のご報告も大事な業務です。エンドユーザーに直接関わるのは住宅の仕事の大きな特徴の一つではないでしょうか。商用建築等ではなかなかないかもしれません。それだけにお施主様からの要望も厳しいものもありますが、ご満足いただけたときの達成感は代えがたいものがあります。
これらをこなしつつ契約工期内にお家のお引渡しを目指します。
⑤アフターメンテナンス
無事にお家が完成し、お施主様にお引き渡ししたらおしまい、ではありません。
アフターメンテナンスも担当します。定期的に入居後に訪問し不具合等がないか確認します。不具合があればメンテナンスの工事の手配もします。
お施主様の住宅に求める理想はそれぞれです。こだわりが強く継続的にお伺いする必要があったりする方もいらっしゃいます。工程表と違いこちらが主導で計画するのではなくお施主様のご都合ありきなのでスケジュール調整や完成したお家での振る舞いなど配慮が必要な業務です。
・コミュニケーションが必要不可欠な仕事
いかがでしたでしょうか。住宅の施工管理としての仕事は以上が大まかな流れです。このほかにもありあますが、複数棟持つのでこれらの業務を並行して行う必要があります。
やりがいのある仕事であることは間違いないと思います。工事が始まると完成に向けて多くの会社関係、関係業者とともに自分が中心になって動いていきます。一つの目標に向けて時間や考え共有できるのは気持ちが良いものです。
またお客様の思い入れも強いですから、それだけ要望のレベルや理想も高くなりますが、満足してもらえて感謝されると報われます。人との出会いの多い仕事ですから気付かされ、刺激もお多い仕事です。
大変なのは人と人に挟まれる仕事であることです。関係業者、会社関係者、お施主様。うまく行かないときは工事担当はこの三者に挟まれる形になります。
三者が満足行く形に行かない場合は折衝が必要になります。そして、それは日常的に起きますから、常に解決に向けて間を取り持つよう対応する必要があります。全て自分で解決する必要はありませんが、解決すべく、解決できるように働きかける対応力が求められます。
以上です。参考になればうれしいです。
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