建築技術教育普及センターより令和5年の一級建築士の試験結果のデータが発表されております。ちょっとまとめてみました。
試験結果
学科試験
学科試験は実受験者28,118名に対して学科試験合格者が4,562名でした。合格率としては16.2%になります。
合格率からもわかるように例年(20%前後)より難易度の高い試験となっていたようです。令和4年の学科試験の合格率は21.0%でしたから、去年と比較しても難易度の高い試験となっていました。
特に学科Ⅱにおいて、初見の問題が散見され、より幅広い知識を求められるようになっていました。基礎知識が身についていないと表現の仕方が変わったことで混乱した受験生が多かったとのこと。丸暗記では得点が難しい試験となっていたようです。
その他の科目においても、初見の問題については令和4年の社会情勢を加味した時事的なキーワードも見られたということで、建築業界のトレンドも把握する必要があった。
設計製図
設計製図試験は実受験者10,238名に対して、設計製図試験合格者が3,401名でした。合格率としては33.2%となります。
設計製図試験単体の合格率としては、ほぼ例年通りの合格率となりました。
令和5年で特徴的だったのが北側斜線の理解ができていたかどうかが大きく影響していたようで、ランク4(=重大な不適合)の判定の割合が42.6%(令和4年は28.5%)と半数近くに達していたようです。
ちなみにざっくり令和5年の特徴を挙げると以下の用な感じ…
- 北側斜線制限の検討が必要。
→計画敷地が第二種中高層住居専用地域だった。 - 床面積の指定がなかった。
→地上3階建で容積率が300%だった。 - 適切な防火設備の設置。
→延焼ラインにかかる場所はもちろん、吹き抜けや屋内駐車スペースなどへの配慮も必要。 - 要求室の部門指定なし。
→適切な動線計画のために計画建物に対する理解が求められた。
法律に関するより厳格な審査が見受けられ、課題の自由度も高くなっており、建築条件により計画が構成されていくというよりは、法律に適合した自発的な計画が求められるようになっていると感じました。
総合すると…
令和5年度の総合の合格率は9.9%とほぼ例年通りの結果に。
その合格者の属性に変化が
合格者の平均年齢が30.2才になり、29才以下の合格者の割合が64.9%に。建築士法改正の影響もあり時間の確保がしやすい就学中や、新卒での学習する傾向が見て取れる。
また、女性の合格率も26.3%(29.0%)とやや減ったものの、以前30%に届きそうな勢いで推移している。
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