【環境】三相3線式ってどういう配線?電圧降下はその配線方式よって変わるの?

一級建築士

電気設備のカテゴリーのなかでも、より実務的な内容になる電気方式。建設業に携わっていても、施工や設備の業種でなければ、単相2線式や三相3線式って言葉を聞きはしても、内容を正確には把握していない、という方も多いのではないでしょうか。難しい内容ではありませんので一度整理してみてはいかがでしょうか。

配線方式

単相2線方式

電圧線と中立線の2本を利用して電気を取り出しする方式です。

100Vしか取り出しすることできません。

住宅の設備容量が小さいものや、非常用照明の幹線に利用されます。ただし近年では、エアコン、電子レンジなど家電製品において200Vを使用するものが増えていますので、単相3線式が利用されます。

単相3線式100V/200V

上下一方の電圧線と中立線を利用することで、100Vの電気を取り出すことができ、中立線以外の上下の電圧線を利用することで200Vの電源を取り出しすることができます。

この方式は、単相2線式100Vに比べて、電線の本数は多くなりますが、許容電流あたりの所要銅量は半分ですむため経済的です。

住宅や、事務所ビルの配線方式として一般的な手法です。

三相3線式200V

工場、店舗、ビル等の動力(主としてモータ)の電源に用いられます。

三相4線式400V級

各電圧線を利用することで400V級の電気を取り出すことができ、中立線を利用することで240V級の単相を得ることができます。

400V級は動力用に、240Vは電灯用(照明)に使用されます。

大規模な建物や工場などで使われる方式。大規模なビル等では負荷が多く、幹線や分岐回路が長くなり、低圧配線では電線が太くなって不経済になりがちなので三相4線式400V級を用いる事が多い。

電線の太さ

電線の太さは、要素により決定する。

①許容電流、②電圧降下、③機械的強さ、である。

許容電流

電線に電流を流すと、電線の抵抗により熱が発生し電線の温度が上昇する。

一定の限度を超えると電線は損傷してしまう。電線は太さや、絶縁物の種類、周囲の温度等により許容される限度が異なる。

この限度のことを電線の許容電流といいます。

電圧降下

電源電圧は、回路内の負荷や電線の抵抗により電流が配線中を流れる間に降下していく。

この配線中で消費される電圧のことを電圧降下といいます。

電圧降下は次式により求められる。

  • 単相2線式:e = 35.6 x L x I / (1000 x A)
  • 単相3線式:e = 17.8 x L x I / (1000 x A)
  • 三相3線式:e = 30.8 x L x I / (1000 x A)
  • e:電圧降下、L:電線のこう長、I:電流、A:使用電線の断面積

ちなみにこちらの式、活用する問題が令和2年に出題されました。電線のこう長さ、電流、使用電線の断面積は同じとする条件で、係数を知っているかどうかが問われる内容でした。

低圧配線中の電圧降下について(平成21年出題)

低圧中配線中の電圧降下は、幹線及び分岐回路において、それぞれ標準電圧の2%以下とします。ただし、変圧器により供給される場合の幹線の電圧降下は3%以下とできる。

電圧降下は、電線の長さ、電流に比例し、電線の断面積に反比例する。

機械的強さ

電線があまりに細い場合は、強度が弱いため外部からの衝撃で断線してしまうことがある。このため、十分な強度が求められている。

電線の太さについて(平成30年、21年、12年出題)

  • 電流が大きくなると、電流は太いものを使用しなければならない。
  • 同一の電力を供給する場合、電圧を高くすると、電流が小さくなり、電線を細くできる

今回は以上です。一度確認しておけば、なにという仕組みではないのですが、曖昧なまま認識でいるともやもやしますよね。少しでも皆様の学習のお役に立てば嬉しいです。

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