2024年の「施工」の試験で、「工事監理」と「施工管理」の区分が明確にできているか問われる内容の出題がありました。また、同じく「監理」の文字が入った「監理技術者」の配置についても出題がありました。施工に携わる方でしたら学習せずとも日々の業務からなんとなく解答できた方もいらっしゃると思いますが、これから学習するという方は、「監理」について一緒に確認していきましょう!
「管理」は日常的に使う言葉ですが、「監理」はどうでしょうか?
「監理」はなかなか使わないですよね。監督の監の文字を含んでいますね。
一見、現場監督の業務と一緒にしてしまいがちですが、現場監督は「施工管理」をする方のことで、役割が違います。
実務で関わることがないので、「監理」って役割が掴みづらいんでよね。
馴染みのない「監理」の業務を把握して、一度整理してみましょう!
「監理」と「管理」
端的にいうと、施工を確認するのが「工事監理」であり、施工を実施していくのが「施工管理」ということになります。定義としては以下のようになります。
「工事監理」とは…
建築主より委託され、責任をもって工事を設計図書と照合し、そのとおり実施されているかどうかを確認すること。工事監理者とは、それを実施する者のことをいう。
「施工管理」とは…
建築物・工作物に関する工事において、工事全体を管理する業務のことを指し、工事の指揮をし、安全、品質、工程、予算などの管理をします。
関係を図にすると…
施工管理も工事監理も建築主との契約により、建設に関わっており、それぞれが別個の職責を負っている形になります。
監理者の業務について
監理者の業務は、大きく分けて以下の6つになります。
これだけでも施工管理とは業務内容が違うことがよく分かると思います。
- 工事が設計図書に合致しているかどうかの確認
- 説明図、詳細図を受注者への交付
- 施工計画の助言、施工図、材料、設備などの検討、承認
- 施工についての指摘、立会い
- 出来高払い、完成払いの請求書の審査
- 引渡時の立会い
過去の出題より
ここで、過去の出題例をみてみましょう。監理者の業務内容だけでなく役割、立場を理解しておく必要があります。
H29-01より 以下の記述は正しいでしょうか。
3.監理者は、工事請負契約の定めにより工事施工者から提出される工程表について、工事請負契約に定められた工期又は設計図書等に定められた品質が確保できないおそれがあると判断した場合には、速やかにその旨を工事施工者に報告する。
つづいて、こちら。
H30-01より 以下の記述は正しいでしょうか。
1.工事監理の着手に先立って工事監理体制その他の工事監理方針について建築主に説明し、その説明後、工事監理方法に変更の必要が生じた場合には、工事施工者に承認を受けたことをもって、工事監理方法を変更する。
いかがでしたでしょうか。いずれも監理者の業務についての問題でしたが、その立場も理解しているか問われる内容になっていました。
ポイントとしては、契約内容(契約図書)からの変更や違反があった場合は、現場内で完結するのではなく、建築主(発注者)にその問題を報告、協議するのが監理者の立場ということになります。
あくまで、請負契約を結んでいる工事施工者とは別の建築主との契約により、工事監理者が存在しているということを理解する必要があります。
「監理技術者」について
監理者とは、名前が似ていますが、全く意味は異なります。
「監理技術者」とは、建設業者が工事現場における施工の技術上の管理をさせるために配置するもの。
監理技術者のほか、主任技術者、専門技術者と分類され、その配置条件は以下の通り。
配置条件
- 監理技術者:発注者から直接工事を請け負った特定建設業者(元請業者)が、請負代金のうち4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上を、下請業者と契約して施工する場合。
- 主任技術者:上記以外の条件で施工する場合。原則、請負金額の大小、元請、下請にかかわらず配置が必要になる。
- 専門技術者:建築一式工事を請け負った元請業者が、建築一式工事以外の専門工事を自ら施工する場合。
専任で配置しなければ行けない条件について
公共性のある施設もしくは工作物、または、多数の者が利用する施設もしくは工作物に関する重要な建設工事で請負金額が3,500万以(建築一式工事は7,000万)以上の個人住宅を除くほとんどの工事(民間工事も含む)については、元請、下請にかかわらず、工事現場ごとに専任の監理技術者及び主任技術者を配置しなければならない。
ただし、監理技術者にあっては、監理技術者を補佐するもの(管理技術者補佐)を工事現場に専任で配置する場合は、この限りではない。
過去の出題より
監理者は、その業務内容が問われ、監理技術者は、その配置条件が問われます。
実際の出題内容を見てみましょう。
(H29-3より)
4.元請として診療所併用住宅の建築一式工事を施工する特定建設業者は、診療所部分に相当する請負金額が 7,000万円以上の場合、原則として、当該工事には専任の監理技術者を置かなくてよい。
今回は以上になります。
いかがでしたでしょうか。監理について少しでもお役に立ちましたでしょうか。この記事が少しでも学習のお役に立てば嬉しいです。
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