【施工】渉外諸手続きについて。まずは、届出先を覚えよう。届出先さえ覚えれば得点できる!

一級建築士

「施工」の分野で渉外諸手続きといえば、ほぼ毎年出題があります。令和6年も足場の組み立てに係る届出や騒音規制法に基づく特定建設作業実施届等に関する出題がありました。過去に出題されている問題をみても、それぞれの届け出の届出先、届出者、届出時期など回答するにあたり、引っかかる内容がたくさんあります。これから学習されるという方は、まずは届出と届出先を一致させるところから始めましょう。それだけで得点できる問題がたくさんあります。

A男
A男

どこに、誰が、いつまでに、って。もやもやするポイントが多すぎる!

ぱんちょ
ぱんちょ

そうですね。例えば、足場の届け出とか?

A男
A男

そう!高さ10m以上、設置期間60日以上で事業者は労働基準監督署長に、工事開始の30日前までに…、って。

ぱんちょ
ぱんちょ

おさえるポイントが多すぎる?

A男
A男

その通り!覚えなきゃいけない届出はこれだけじゃないんですよ。

ぱんちょ
ぱんちょ

確かに!ただ、実際の問題を特には届出先をおさえていれば消去法等で解答できるものがほとんどですよ。一緒に見ていきましょう。

渉外諸手続き

渉外諸手続きは、3種類に分けることができます。

  • 建築基準法関係
  • 労働安全衛生法関係
  • 建築施工にともなう諸手続き

順番に見ていきましょう!

建築基準法関係

まずは、建築基準法関係の諸手続きについて以下にまとめました。

書類名 ー 届出先 ー 届出者 ー 届出時期 

  • 建築確認申請書 ー 建築主事 ー 建築主 ー 着工前
  • 建築工事届出(床面積10㎡超) ー 都道府県知事 ー 施工者 ー 着工前
  • 建築物除却届(床面積10㎡超) ー 施工者 ー 着工前
  • 中間検査、完了検査申請 ー 建築主事 ー 建築主 ー 完了後4日以内
  • 安全上の措置等に関する計画届 ー 特定行政庁 ー建築主 ー 事前

過去の出題より

R02 – 04

4.既存建築物を除却し、引き続き同じ敷地に床面積の合計が 200 ㎡の建築物を新築する工事に先立ち、当該既存建築物の床面積の合計が 100 ㎡であったので、当該工事の施工者が特定行政庁あてに「建築物除却届」を提出した。

解答(こちらをチェック)
→✖ 正しくは「特定行政庁」に届出、ではなく「都道府県知事」に届出、となります。

H29 – 04

建築工事に関する届出等に関する組み合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。(以下、届出等 ー 届出者等 ー 届出先 の順。)

3.「建築基準法」に基づく工事中における「安全上の措置等に関する計画届」 ー 建築主 ー 都道府県知事

解答(こちらをチェック)
→✖ 正しくは「都道府県知事」に届出、ではなく「特定行政庁」に届出、となります。

いかがでしょう。無作為に選んだ問題ですが、解答につながるポイントがいずれも「届出先」ということがわかります。

労働安全衛生法関係

次は、労働安全衛生法関係の諸手続きです。以下、書類名 ー 届出先 ー 届出者 ー 届出時期 の順。

①選任報告 ー 労働基準監督署長 ー 事業者 ー 事由発生後14日以内

  • 総括安全衛生管理者
  • 安全管理者
  • 衛生管理者

②工事計画届 ー 労働基準監督署長 ー 事業者 ー 工事開始前の14日前

  • 建築物又は工作物の建築等(31m超、解体含)
  • 地山の掘削(10m以上)
  • 石綿(アスベスト)等の除去

③建設業に付属する寄宿舎設置届 ー 労働基準監督署長 ー 使用者 ー 仕事開始日の14日前

④特定元方事業者の事業開始報告 ー 労働基準監督署長 ー 特定元方事業者 ー 開始後遅滞なく

⑤共同企業体代表届 ー 都道府県労働局長 ー 事業者 ー 仕事開始日の14日前

⑥その他の計画届、設置届 ー 労働基準監督署長 ー 事業者 ー 工事開始前30日以内

  • 型枠支保工設置計画届(支柱の高さ3.5m以上)
  • 足場の組み立て、解体計画届(高さ10m以上、かつ設置60日以上)
  • クレーン、デリック、エレベーター、建設用リフトの設置届
  • ボイラー設置届
  • ゴンドラ設置届

過去の出題より

(R01 – 04)

建築工事に関する届出等に関する組み合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。(以下、届出等 ー 届出者等 ー 時期 ー 届出先等 の順。)

2.労働安全衛生法に基づく「共同企業体代表届」 ー 事業者 ー 工事開始の日の14日前まで ー 都道府県労働局長

解答(こちらをチェック)
→ ◯ 労働安全衛生法関係の中で唯一届出先が「労働基準監督署長」でなく「都道府県労働局長」であることに注意。

(R06 – 04)

2.高さ 15 mの枠組足場の組立てから解体までの期間を 6 か月とする計画としたので、事業者が、
当該工事の開始の日の 30 日前までに、機械等設置届を労働基準監督署長あてに提出した。

解答(こちらをチェック)
→ ◯ 型枠支保工、足場、ボイラー等の「設置届」を総称して、「建設物・機械等設置届」と表現するされることがありますので、試験に出たとき混乱しませんように。

建設施工にともなう諸手続き

最後に、建設施工にともなう諸手続きをみていきましょう。以下、書類名 ー 届出先 ー 届出者 ー 届出時期 の順。

  • 道路占用許可申請書 ー 道路管理者 ー 専用事業者 ー そのつど
  • 道路使用許可申請書 ー 警察署長 ー 施工者 ー そのつど
  • 騒音規制法に基づく特定建設作業実施届 ー 市町村長 ー 施工者 ー 作業開始の7日前
  • 振動規制法に基づく特定建設作業実施届 ー 市町村長 ー 施工者 ー 作業開始の7日前
  • 宅地造成に関する工事の許可申請 ー 都道府県知事 ー 造成主 ー 着手前
  • 産業廃棄物処理業の許可申請 ー 都道府県知事 ー 処理業者 ー 着手前
  • 伝搬障害防止区域における高層建築物等予定工事届 ー 総務大臣 ー 建築主 ー 着手前
  • 消防用設備等設置届出 ー 消防長又は消防署長 ー 特定防火対象物の関係者 ー 工事完了から4日以内
  • 危険物の貯蔵所及び取扱設置許可申請書 ー 消防署を置く市町村長、それ以外は都道府県知事 ー 設置者 ー 事前
  • 航空障害灯の設置届 ー 地方航空局長(国土交通大臣) ー 設置者 ー 事前
  • 浄化槽設置届 ー 都道府県知事(保健所を置く市又は市長) ー 設置者 ー 着工の21日前
  • 工事監理報告書 ー 建築主 ー 建築士 ー 工事監理終了後直ちに
  • 特定粉じん排出等作業実施届出書 ー 都道府県知事 ー発注者又は施工者 ー 作業開始の14日前

うーん、たくさんありますね。やはり、これを丸暗記というのは効率が悪いと思います。

実務において届出を出したことがある方は、ラッキーですね。私も道路占用、道路使用、騒音規制法等を出したことがあるので得点しやすかったです。実際にそこまで書類を作成して持っていってますからね。そしてここでも注目すべきは、「届出先」になります。

実際の過去問を見て見ましょう。

過去問!

(R01 – 04)

建築工事に関する届出等に関する組み合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。(以下、届出等 ー 届出者等 ー 時期 ー 届出先等 の順。)

1.大気汚染防止法に基づく「特定粉じん排出等作業実施届出書」 ー 特定工事の発注者 ー 作業開始前の14日前まで ー 労働基準監督署長

解答(こちらをチェック)
→ ✖ 「労働基準監督署長」ではなく「都道府県知事」

(R03 – 04)

4.道路に外部足場を設置するに当たって、継続して道路の一部を使用する必要があったので、「道路使用許可申請書」を道路管理者あてに提出した。

解答(こちらをチェック)
→ ✖ 「道路使用許可証」ではなく「道路占用許可申請書」

道路「使用」というのは、工事や作業等で、道路を一時的に使用することをいい、道路「占用」というのは、足場や仮囲い等を道路に、継続して設置し使用することいいます。

実際には「道路使用」は、工事車両等を一時的に道路に駐めておく必要がある場合に提出します。交通に影響があるため、交通を管理している「警察」に持っていき、「道路占用」は、仮囲いなど工事期間中ずっと撤去せずに継続して道路の上に設置する必要があるため、「道路を管理」しているところに許可を貰いに行くわけです。

ふー、なかなかのボリュームですね。

ですが、どうでしょうか。無作為に選んだ過去問の選択肢を何年分か載せてみましたが、いずれも届出先がわかれば得点できたんではないでしょうか。いろいろ余計な情報も載せてしまいましたが、まずは「届出先」ということで学習を始めてみてはいかがでしょうか。今回の記事がすこしでもお役に立てば嬉しいです。

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