型枠工事の範囲からは、毎年1問出題されています。その中でも今回は側圧についてまとめてみました。側圧に影響を与えるものとしては、打込み速さ、フレッシュコンクリートのヘッド、単位容積質量などがあります。さらには施工の仕方によっても変わってきますので一緒に確認してみましょう。

うーん、側圧ってそんなに複雑な問題出あったかな?

例えば「コンクリートの打込み速さを 10 m/h以下、コンクリートの打込み高さを 1.5 m以下との場合、柱の側圧と壁の側圧とを同じ値にできる。」これは正しい記述でしょうか?

ん?えーっと…

これは正しい記述です。一緒に確認していきましょう!
型枠の設計
まずは、型枠の設計条件について。
型枠の強度、剛性の算出は、打設時の振動や、コンクリート施工時の鉛直荷重、水平荷重及びコンクリートの側圧が影響する。
また、支保工の鋼材についても、許容応力度の定めがある。
鉛直荷重
まずは、鉛直荷重について。
鉛直荷重は…
固定荷重(鉄筋を含んだ普通コンクリートの単位容積重量に部材厚さを乗じた値に、型枠重
量を加えた値)
と
積載荷重(通常ポンプ工法の場合は、その作業荷重と衝撃荷重を合わせたもの):1.5kN
を合わせたもの。
水平荷重
水平荷重とは、風圧や機械類の始動、工事車両の走行により生じる外力を指す。
一般的には、鉛直荷重に対する割合で定める。
風圧による荷重は、地域、季節、施工時の地上からの高さ等の関係で強風にさらされる場合に考慮する。
地震による地震力は考慮しない。
型枠支保工の構造計算
型枠支保工は、それぞれ以下の荷重が作用しても安全な構造のものであること。
・鋼管枠を支柱として使用する場合:設計荷重(鉛直荷重)の2.5/100
・鋼管枠以外のものを支柱として使用する場合:5/100
支保工の許容応力度
支保工の許容応力度は以下の通り。
・鋼材の許容曲げ応力度および許容圧縮応力度は
「鋼材の降伏強さ」または「引張強さの値の3/4」のうち
いずれか小さい値の2/3以下とすること。
・鋼材の許容せん断応力度は
「鋼材の降伏強さ」または「引張強さの値の3/4」のうち
いずれか小さい値の38/100とすること。

コンクリートの側圧
側圧について。
まず、これまでに計算問題が出題されたことはなく、計算式を覚える必要なはない。
ただしの表の仕組みは理解しておく必要がある。
問題の傾向については過去問を参考にするとわかりやすいので、合わせて確認してみましょう。
過去問(R02-09)
1.型枠の構造計算を行うに当たり、コンクリートの打込み速さを 10 m/h以下、コンクリートの
打込み高さを 1.5 m以下として計画したので、柱の側圧と壁の側圧とを同じ値とした。
こちらの記述は正しいでしょうか。それとも誤り?

冒頭の会話もこの内容になります。
その他の条件
・コンクリートの温度及び気温が高いほど、コンクリートの側圧は減少する。
→これはコンクリートの硬化が早くなるため。
・高粒度コンクリートを使用する場合は、液圧が作用するものとして計算する。
施工条件と側圧
コンクリートの性質が理解できていれば、感覚的にわかる方もいらっしゃると思いますが、一覧にしてみましたので確認してみてください。
- 打込み速さが速いと → 側圧は大きくなる
- コンシステンシーが柔らかいほど → 側圧は大きくなる
- 比重が大きいほど → 側圧は大きくなる
- 打設時の温度や気温が高いほど → 側圧は小さくなる
- せき板が平滑なほど → 側圧は大きくなる
- せき板の透水性、漏水性が多いいほど → 側圧は大きくなる
- バイブレーターでつき固めるほど → 側圧は大きくなる
- 高所より落下させるほど → 側圧は大きくなる
- 鉄筋、鉄骨が多いほど → 側圧は小さくなる
※コンシステンシーとは…
主として水量によって左右されるフレッシュコンクリートの変形、流動性に対する抵抗性のこと。
今回は以上です。いかがでしたでしょうか。
過去問を眺めてみましたが、繰り返し同じ問題が出題される傾向があるようです。職業上、感覚的に溶けている方も多いとは思いますが、不安な枝があったら潰しておきましょう!
少しでもお役に立ちましたでしょうか。お役に立っていれば嬉しいです。
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